人はいつかこの世からいなくなります。故人が残した美術品や蔵書をどうやって処分したらいいか悩んでいる人も少なくありません。美術品は専門買取業者が高価買取をしてくれますが、蔵書は図書館への贈与を考えていませんか。しかし、本の中にもダーウィンが編纂した「種の起源」のように美術品に劣らない価値をもつものもあります。中にはただの古い紙切れに見える蔵書も当時の街並みを表した地図や、著者が未執筆部分を加筆したものもあります。
蔵書を図書館に寄贈する
蔵書が寄贈可能なのは公共図書館、大学図書館です。蔵書の寄贈には条件があり、それぞれの図書館の資料収集方針と合っていなければなりません。さらに、汚れなど本のコンデイションが良いもの、出版年数などの制限があります。
蔵書の寄贈条件は、各図書館のホームページで確認できます。近くの図書館なら直接持込み、遠方なら郵送で寄贈します。
大学の図書館へ蔵書を寄与する場合も公共図書館と条件はほぼ変わりません。ただ、大学の資料収集の方針に合わない本は破棄になるので、返品をしてもらいたい場合、大学図書館と事前に相談しましょう。また、大学図書館の中には返品に応じない図書館もあるので注意しましょう。
ただ、蔵書の中には、歴史的な資料や誰でも知っている作品でも「ガリバー旅行記」のように初版の価格は上下2冊揃いで550万円する希少性の高いものもあります。寄贈するより古本屋で買取をしてもらうのも一つの手です。
美術品を美術館に寄贈する
相続で個人所有となると「美術品の相続税納税猶予制度」が適用されません。そうなると、美術品を持ち続ける限り、相続税を払い続けることになります。「美術品の相続税納税猶予制度」によると相続した美術品を個人所有ではなく、美術館に寄贈したり寄託行為をすることで相続税の猶予を受けられます。個人での所有は相続税上厳しい人にはうれしい制度ではないでしょうか。
美術品買取業者に査定・買取してもらう
最近は、相続トラブルを避けるために生前贈与などをする人も増えています。そんな中、美術品などは生前に買い取ってもらうほうが得策な場合もあるのです。
どちらにしろ、相続させるには正しい価値を把握しないといけないので、まずは専門鑑定士に査定をしてもらいましょう。
但し、買い取ってもらった後でも「譲渡所得」が発生しますので、きちんと税務署で確定申告を行ってくださいね。
知人・友人に譲る
絵画などの美術品で、価格がそれほど高くないものは買取ではなく身近な友人や知人に譲るのも一つの手です。この場合、美術品の所有権が他人に移るので、譲った美術品の金額に税金が加算されます。思わぬ価格で譲ることに成功した蔵書美術品もまれにありますが、後々相続税を支払うのを忘れないようにしましょう。
また、友人や知人と取引すると、口約束になりがちです。トラブルを避けるために譲渡書を交わすなどして末永く、円満な関係を維持しましょう。